「繕うワザを磨く 金継ぎ上達レッスン」をお読みいただいた皆様へ

繕うワザを磨く 金継ぎ上達レッスン(メイツ出版 9月23日発売)の監修をさせていただきました。

今現在の、私に出来る限りの力を尽くしたつもりでいるのですが、それでも書籍という形式上、伝えきれない点やわかりづらい箇所などがあるかと思います。
そこを、このfollow up page で補っていこうと思います。
先ずは本書Q&Aページでも予告しましたが、私が使っている道具や材料の説明と購入先から少しずつですが紹介していきます。



漆の購入先

本書で使用した漆の購入先です。

◯生漆(きうるし) →浄法寺漆産業/ http://www.japanjoboji.com/urushi/urushitube.html ネットストア有り/貴重な岩手県浄法寺産漆を少量で販売している。国産の呂色漆もあるが、サラサラしていて厚みが出ないため、慣れない人の修繕の作業には向かない。と私は思います。


◯黒呂色漆(くろろいろうるし)→藤澤漆商店/website なし/☎︎03-3861-3353/国産と中国産があるが、上記と同じく中国産の方が扱いやすいと思います。少量販売がないため、何人かでシェアする事をお勧めします。
◯絵漆(えうるし)→藤澤漆商店/ 同上
◯ガラス用木地呂(きじろ)漆→箕輪漆行/ http://urushiya.ocnk.net/ ネットストア有り/国産と中国産があり、使い勝手に違いはなかったです。
私は国産を使っていますが、中国産でも充分同じ作業ができます。少量販売は現在ありません。
※私は国産の漆で直していますが、決して中国産の漆の品質が悪いという事はありません。
ただ、せっかく日本に漆の木があり、漆を搔く人がいる。そして「モノ継ぎ」を立ち上げるきっかけが
2011年の東日本大震災だったという事もあり、東北の漆を使わせていただいています。
中国産でも日本産でも貴重な木の一滴一滴を掻き集めて、私たちが使えるように処理してくれている事に違いはありません。
無駄にせず、大切に使って欲しいと思います。2017.10



金粉、銀粉の購入先

◯金丸粉(五号粉と三号粉)

◯純金丸粉(5号粉と3号粉)/◯本銀丸粉(5号粉と3号粉)→浅野商店   http://goldsilver.co.jp/est/ ネットストア有り

◯金消粉(四号色or三号色) → 今井金箔 https://www.kinpaku.co.jp/shopping/keshifun/jyunkin.html ネットストア有り/「カサアリ」と「コマカ」があり、カサアリは華やかな仕上がりに、コマカは落ち着いた仕上がりになります。
箔座 http://shop.hakuza.com/category/65 で購入することもあります。
◯本銀消粉→浅野商店
※本書p.20の写真で使用している金粉銀粉は上記の通りです。
消粉と同じ使い方で、平極粉で仕上げることもあります。
モノ継ぎでは、磨き仕上げ(丸粉)、マット仕上げ(消粉or平極粉)と言うように使い分けています。
 
※初めて金継ぎをやる方や慣れていない方は、マット仕上げから試してみてください。
p.38の外焼締ボウル 欠け修理  / p.58の白磁カップ ヒビ修理  /  p.68の織部釉フィンカップ 割れ修理 などをご参照ください。
 
※金継ぎの経験者で丸粉を使用したことのない方は、ぜひ、小さな欠けなどから銀丸粉で挑戦してみてください。(金粉は高価なので…)
p.44の白磁ドレープカップ 欠け修理  /  p.50の白磁輪花小皿 接着を伴う欠け修理 などをご参照ください。2017.10



基本の道具のページの補足 p.16

①ガラス板→本書で使っているものは、要らなくなったフォトフレームのガラス。手を切らないようにエッジを耐水ペーパーでヤスリがけしておくか、マスキングテープでカバーすると良いです。

②ヘラ→写真はプラヘラと呼ばれるものの30㎜幅。ホームセンター、東急ハンズ、画材屋などで手に入ります。先日100円ショップにも売ってました。漆芸屋さんで売られている木のヘラでももちろんいいです。どちらも時々、耐水ペーパー1000番くらいで先端を研ぎ整えるといいです。

③ナイフ各種→左の黄色いのは、オルファ製のアートナイフ。右は医療用のメスで、FEATHERの③という軸に、フェザー替刃メス⑮を装着しています。メスを使うメリットは、刃先を自由に選べること。何種類か試して、⑮に落ち着きました。ネットでも買えますが、私は東急ハンズに行った時に替刃をまとめて購入します。一枚70円。軸は1,000円くらい。器の内側の削り作業の時は、このメスと彫刻刀の丸刀を使います。

④筆→漆用の筆は高いです。そして、当たり前だけどちゃんと手入れをしないとすぐ使えなくなります。私は年間300個以上の器を繕うので、いい筆では回せなくなりました(実は面倒くさがりや)。かと言って安価な筆ではいい線は引けないし、何か良い筆はないものかとアレコレ試して、今はこの2社の筆に落ち着きました。小さな平筆はアシーナ社のラヴィアフラット7000シリーズの#0と#2。線を引く面相筆は、同社ラヴィアスクリプト7300シリーズの#5/0。さらに細い線を引くには蒔絵筆の毛の長いものが一番で、でも実は5,000円くらいするのです…。そこで満を辞して登場するこの面相筆。浅草かなやさんの面相筆長穂。アシーナ社の筆は500円弱ですが、この面相筆はさらに安く、しかも抜群に使いやすいです。本当にありがたいことです。

⑤細いヘラ各種→p32のワンポントアドバイスで紹介しているので割愛。

⑥綿棒→ドラッグストアのベビー用品コーナーで買っています。100円ショップのも試しましたが、けばが立つというか毛が抜けるというか、安かろう悪かろうでした。なので、少々値段は張っても、硬めのしっかりした綿棒をオススメします。やすい綿棒は掃除用に使い、良い綿棒は錆漆を整える時に使うと良いです。

⑦筆置きとヘラ置き→私は陶芸の仕事もしているので焼き物で作りましたが、筆が転がらないならどんなものでも良いです。2㎝×8㎝程度の木の板に釘やビスを5本打ち込めば、筆三本とヘラ一本置けます。無くても作業できますが、以外と無いと不便です。筆が転がって器に漆がついちゃったり、置き場所を探してる時に事故が起きたり。良い仕事をするには良い環境を整えよう、という話なのかも。

⑧キムワイプ(紙ウエス)→けばが立ちにくい。とは言うものの、ゴシゴシすれば毛羽立ちます。普通のティッシュと使い分けています。毛羽立ちや埃が厳禁な、漆を塗る前の拭き取り作業の時は、キムワイプで抑えるように拭き、市販のエアーダスターでプシューッと埃を吹き飛ばしてから、呂色漆や絵漆を塗ります。

⑨ラップフィルム→本には曖昧な書き方をしてありますが、早い話がサランラップとクレラップがオススメです。

⑩ベンジン→既に金継ぎを習ったことのある方や金継ぎの本を読んだことのある方は、あれ?ベンジン?と思うのでは。⑫の灯油もそうなのですが、漆の産地や職人さんによって使うものが違うのです。どれが正解というわけでは無く、自分にとって手に入れやすいもの、使いやすいものを選ぶと良いと思います。
私は、テレピン油、無水エタノール、ベンジン、灯油、樟脳などを使ってみて、最終的に落ち着いたのがベンジンと灯油です。漆を希釈する時に使う灯油は、20mlもあれば一年作業できます。でも、そんな少量の灯油なんて手に入らないと言う方は、テレピン油をオススメします。ベンジンと灯油の両方の機能を兼ね備えていますので。

⑪食用油→ジャムなどの空き瓶に入れ、常に作業場の手元に置いておくと良いです。筆を洗うときだけでは無く、うっかり漆が肌についちゃった時にすぐ対処するためです。

⑫灯油→⑩に書いたので割愛。

⑬⑭⑮は補足の必要がないので割愛

⑯耐水ペーパー→ p.41ワンポイントアドバイスでも説明してあります。錆研ぎに使う場合は、絶対に陶磁器に耐水ペーパーが触れないように気をつけてください。釉薬に細かい傷が付いてしまいます。一度ついた傷は消せません。脅しのようですみません。。。

⑰フィルム研磨材→これを使い出してから、格段に作業効率が上がりました。本書では、塗った漆を研ぐ時にはトレックス・ピンク(1500番相当)。金や銀の丸粉を蒔いて漆で固めた後にバフレックス・グリーン(2000番相当)を使っています。私はネットで100枚入りの箱(5,000円弱)で買ってますが、一枚で器10個は余裕で作業できますので、皆さんは漆芸屋さんのバラ売りに頼るしかないと言うのが悩みです。

※渋谷のヒカリエ8階にあるd47デザイントラベルストアで本書を買っていただいた方には、ピンクとグリーン両方のフィルム研磨剤をオマケで差し上げています。

⑱ダイヤモンドビット→いわゆる電動工具の先っぽに付けるもの。ホームセンターや、100円ショップのものでも良いと思います。私は軸につけて使っていますが、ない場合は、金属用のダイヤモンドヤスリの方が使いやすいです。それもない場合は、耐水ペーパーでも構いません。破片の面取りをする時は、耐水ペーパーの200番〜300番くらいが作業しやすいです。水に濡らして研いだ時は、充分に乾かしてから次の工程に進んでください。

⑲砥草・炭→本書では残念ながら炭を使う場面を紹介できませんでした。大まかに言うと、ざっくりと錆漆の形を整える時には砥草を。錆漆で作った面積が広い場合など、ピタッと完璧にツラを合わせる時は、硬めの炭を使います。ただ、そこまで揃えるのは大変なので、せめて砥草だけでも使ってみてください。耐水ペーパーのように釉薬に傷をつける心配がないので、ザシザシ錆を研げます。意外と近所の住宅をみまわすと、植え込みに砥草を使っていますよ。一本いただけば、一年は作業できます。

⑳マスキングテープ→近年、マスキングテープの用途が変わり格上げされててびっくりします。私は3M社のマスキングテープ、6㎜、10㎜、20㎜を使っています。6㎜は、曲線に沿ってマスキングをする際に重宝します。

㉑ゴム手袋→ホームセンターやドラッグストアで購入できます。パウダーなしのピタッとするタイプがいいです。歯医者さんや看護婦さんが使っているアレです。

ここまで書いて心底思いましたが、やはり一つ一つ揃えるのは相当大変だな、と。初めは金継ぎセットを買うことを進めてはいるものの、これぞオススメ!!と言うセットは見たことも聞いたこともないので、悩ましいところです。
「モノ継ぎ」仕様の金継ぎ入門セットを作れないものか…冷静に考えてみます。  2017年11月