2016年事始め

明けましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。

 

本日より「モノ継ぎ」の仕事始め。

まずは、昨年末に仕上げた大物、リサ・ラーソンの馬の納品です。

 

ポッキリ折れた耳が無くなって数十年。

ずっと片耳のままたたずんでいる姿に心を痛めていた持ち主さまが、昨年9月のd&departmentでの金継ぎ公開受付に「かわいそうなので耳を作ってください」と、持ち込まれました。

 

これはもう「金継ぎ」ではなく、私の持ってる技術を駆使して「修復する」作業です。

 

使い慣れている瀬戸の陶土をブレンドし、焼成後の収縮を考慮しながら、無い部分を想像しながら成形。

 

いくつか作り、釉薬をかけて本焼きしたものもあるのですが、より本物に近い仕上がりを優先し、素焼きで止めたままの耳に塗料で色合わせすることに。

 

美術品としての価値を考えると、今後リサ・ラーソンの展覧会などに出展する可能性も無くは無い?と思い、いざという時にはちゃんと外せる接着方法を選びました。


 

さて、国産の漆で器を直すことを看板に掲げているモノ継ぎですが、もとはと言えば、合成接着剤を使った現代美術や花器などの修理修復をずっとやってきたので、久しぶりのこういうご依頼は実は楽しい。

 

そして、その反面、食器に合成接着剤と合成塗料を使い「金継ぎ」として直すことを良しとしている方が少なからずいることに、心が痛みます。

 

お願いだから、合成接着剤で直した器で食事をしないで~!と大きな声で言いたい。

 

なので、今年は「当たり前のちゃんとした金継ぎ教室」を、私なりのやり方で開講しようと企んでいます。

 

まずは、世田谷近辺に潜んでいる「高い金継ぎキットを買ったのにどうにも出来なくて困っている」方々を救済をしたい。

 

だって、こんなに面白い事に興味を持ってくれて、しかもキットを購入までしたのにそのまま放置されてる…というのはもったいなさすぎる。というか、悲しすぎるので。